腰痛が原因不明となった理由
腰痛のほとんどは原因が分からないといった認識が広まったのは2001年のDeyoらの論文が元になっている。
彼はプライマリケア医だったこともあり、「正確な病理解剖学的診断を行うことができない腰痛」を全て非特異的腰痛症という分類でまとめてしまった。
腰痛の診断は必ずしも病理解剖学的診断のみで判定するものではなく、多くの腰痛は原因の特定が可能である。
2016年に鈴木らは、山口県で腰痛を主訴とする外来患者320人を対象に詳細な身体診察と診断的ブロックを行った結果、原因が特定できなかった腰痛は21.6%だったと報告している。
非特異的腰痛症の種類
- 椎間関節障害
- 椎間板症
- 筋・筋膜性腰痛
- 仙腸関節障害
上記に該当しない腰痛に関してのみ、非特異的腰痛症(原因不明)として表現することが推奨される。
非特異的腰痛症の鑑別方法
腰痛の原因組織を特定する簡単な方法として、
- どの方向に腰を動かしたら痛むのか
- 腰のどこが痛むかを指差してもらう
- どのような場面で痛みが起こるのか
- 下肢に痛みや痺れが存在しているか
以上のことをチェックするだけで、誰でも高い精度で腰痛の原因を分類することが可能となる。
立位前屈時に疼痛が発生する原因
- 腰椎椎間板症
- 腰椎椎間板ヘルニア(正中型)
- 筋・筋膜性腰痛(後方型)
- 腰部コンパートメント症候群
- 仙腸関節障害※
- 椎体圧迫骨折※
立位後屈時に疼痛が発生する原因
- 腰椎椎間関節障害
- 腰椎椎間板ヘルニア(外側型)
- 腰椎椎間板症(変性すべり症)
- 腰部脊柱管狭窄症
- 筋・筋膜性腰痛(外方型)
担当: 中尾浩之