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「7.腰椎変性すべり症」
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7.腰椎変性すべり症

反り腰の女性に多い「腰椎変性すべり症」について解説していきます。

1.腰椎変性すべり症の概要

腰椎変性すべり症は女性に多い障害のひとつで、腰椎前弯が増強したカイホロードシスなどの不良姿勢に好発します。

腰椎のほとんどは前方に滑りますが、その原因には、①椎間板の変性、②過度な伸展ストレス、③腹筋群の筋力低下などが関与しています。

臨床的には、以下の項目に該当する場合は、腰椎変性すべり症に伴う腰痛である可能性が高いです。

  1. MRIで椎間板変性が存在する
  2. 椎間板変性が存在するレベルに一致した腰痛がある
  3. 腰痛は腰部中央に出現する
  4. 腰椎伸展ストレスで痛みが出現する

これらの項目に当てはまる場合は、腰椎変性すべり症の関与が疑われます。

2.腰椎変性すべり症を未然に防ぐ

腰椎変性すべり症は、腰椎前弯(骨盤前傾)が増強した不良姿勢(カイホロードシスやロードシス)に起こりやすいため、過度な前弯は修正することが求められます。

それにも関わらず、腰を反らすような運動(前弯を増強する運動)を実施してしまうと、腰椎の前方すべりを引き起こしてしまう可能性が高いです。

1度すべってしまうと元には戻らず、脊柱管の狭窄を引き起こしてしまうため、姿勢や椎間板変性の有無などからリスクを予測し、発生を未然に防ぐことが必要です。

3.腰椎変性すべり症のリハビリ治療

カイホロードシスのような不良姿勢では、腰椎屈曲(骨盤後傾)の可動性が低下しているケースが多いので、できる限りに拘縮を除去することが求められます。

具体的には、多裂筋や脊柱起立筋群のリラクゼーション、椎間関節のモビライゼーション、身体を丸めるようにして腰椎を屈曲させる運動を行います。

椎間関節モビライゼーションの方法としては、患者に側臥位をとってもらい、股関節と膝関節を屈曲させて椎間関節の関節面を体幹軸上に平行とします。

施術者は上下の腰椎棘突起を指先で把持し、棘突起間を引き離すようにしながら牽引を加えていき、動きがない(拘縮している)関節を中心に治療していきます。

椎間関節モビライゼーションは拘縮を除去する以外の目的で使用することもあり、それが多裂筋のリラクゼーションになります。

例えば、L4/5間に椎間関節障害(脂肪組織などのインピンジメント)が存在する場合は、そこに付着する多裂筋深層線維の収縮不全が考えられます。

収縮を促すためには他動的に伸張と短縮を繰り返させるとよく、徒手的に椎間関節を軽く引き離してはゆっくり戻すような動きを加えていきます。

方法は前述した拘縮除去のモビライゼーションと同じですが、違いはその強さであり、よりマイルドに実施することが求められます。

前述したように1度すべった腰椎を元には戻すことができないため、二次的な障害が発生しないように調整していくようにしてください。


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