運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス 6.感度の概念を理学療法士による腰痛治療場面に応用 前回記事では、診断学における感度と特異度の考え方を記事にさせて頂きました。 そこで解説したのは、感度は除外診断に、特異度は確定診断に役立つという事です。 いくつかの仮説の中で、主仮説を採用するために、他の副仮説を除外する必要がある場合に、感度の高い検査が役に立ちます。 感度80%の検査が3つ陰性であるなら、その仮説を却... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス 5.感度・特異度の考え方 現在の診断学では尤度比(ゆうどひ)というものが主流で用いられていますが、以前から馴染みのある感度・特異度にも、その概念を臨床応用する利点は多くあります。 尤度比については、事前確率や事後確率、オッズ、推論様式に関する理解が必要となってしまい、また用い方を誤ると、かえって判断ミスに繋がる可能性もあるため、シンプルとされて... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス 4.問題解決と意思決定 -前回記事の続編です。- 前回記事では、診断におけるエビデンスは重要だが、治療におけるエビデンスは(間違っているとは言わないが)あまりあてにするものではないという(かなり個人的な)見解を述べさせて頂きました。 ツイッター上で、反響があったのは嬉しかったのですが、少しびびってしまい、不適切な表現がないかと自身で読み返して... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス エビデンス 3.エビデンスの重要性やその使用場面を考えてみる。 「実際に体験したわけではない事を鵜呑みにする。」 これは非常に危険な事ではないでしょうか? 「どこの誰か分からない人が、ネット上に投稿した記事を読んで、それを真に受ける」 と言うと、それが危険な(間違っている可能性が高い)事である事は誰でも理解できるものだと思います。 しかし、このような事と同様の状態が、「エビデンス」... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス 2.椎間板ヘルニア患者のリハビリ初回で考慮すべき事 理学療法士が必要になってくる診断に関する知識の例として、椎間板ヘルニアと診断されてリハビリ処方となった場合を挙げて解説します。 腰痛治療に関わる理学療法士が診断に関する知識を持たないといけない理由については、前回記事で解説させて頂きました。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアと診断されてリハビリ処方となった患者を例に、理学... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 診断学とエビデンス 1.理学療法士と診断学 腰痛があり、脚に痺れを伴う代表的な疾患は何でしょうか? 本特集シリーズは、「診断」に焦点を当てた内容になっています。 診断は医師がするもので、理学療法士・作業療法士が一切関与する必要はないと思われている方もいるようですが、これを知らない理学療法士・作業療法士は適切なクリニカルリーズニングは行えません。 病院に勤める療法... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 臨床推論におけるナラティブリーズニング 7.ナラティブとユーティライゼーション ナラティブとは、「物語」と和訳されています。意味合い的には、「ある真実に対してその人それぞれに解釈の仕方がある。」と以前の記事で説明させて頂きました。 今回新たに出てきた「ユーティライゼーション」とは、治療者側のスタンスのことで、治療に利用できるものは、何でも治療の道具にしようというものです。 理学療法士や作業療法士の... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 臨床推論におけるナラティブリーズニング 6.その人をみて質問の仕方を変える事の重要性について 理学療法士側から投げかける質問に、ナラティブというものを取り入れると少し臨床が変わってきます。 今までのクリニカルリーズニングの記事でも、部分的に取り上げられている事ですが、理学療法士側から質問を投げかける際のナラティブリーズニングについて解説します。 例えば、初回の治療を終了し、2回目の治療場面で、前回の治療後の結... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 臨床推論におけるナラティブリーズニング 5.病態を細かく説明すべきかを物語推論の視点で考える 患者から、「私の腰はどうなっているのですか?」と聞かれた際、理学療法士のほとんどの方は、病態をしっかり患者に説明すべきと思っているのではないでしょうか? 人によっては、しっかり時間をとって丁寧に説明されている方もいるかもしれません。 この事をナラティブリーズニングの視点から考えてみたいと思います。 前回記事では、「患者... 棚原孝志
運動器リハビリテーション 臨床推論におけるナラティブリーズニング 4.ラポールの形成、適切な治療関係の構築 治療をすすめていく上で、重要になってくるのは、徒手的な治療技術があるか、という事よりも「患者と適切な治療関係を築ける能力があるか」だと思っています。 これができない状態であるなら、スタートラインにさえ立てていないので、治療技術うんぬんの話ではありません。 ラポール形成や、適切な治療関係についてナラティブリーズニングとい... 棚原孝志